アーカイブ

新型為替商品の生まれる背景

為替リスクを回避するための持高の操作とは、買持か売持になっているオーバーオールポジションをゼロ(スクェア)にすることや、月足、日足等のネットポジションが買持か売持ポジションの場合に、それぞれのポジションをスクェアにする操作と説明しました。前節では、この持高の操作を行うときの1つに先物為替予約か外貨預金の利用を挙げましたが、外貨預金と同様の効果が得られる為替商品として比較的使い勝手の良いものに外貨MMF(マネー・マーケット・ファンド)があります。商品取引会社、外為ブローカー、あるいは、証券会社等が提供する外国為替証拠金取引も同様に使えます。ここではこの2つの商品について、その生まれた背景を簡単に述べ、次項にそれぞれの商品概略とその得失を書きます。今ではすでに聞き慣れ、あまり騒がれるようなキャッチフレーズではなくなりましたが、1990年代後半に日本の金融や資本市場の活性化を目的とする日本版金融ビッグバンという言葉が氾濫した時期があります。この金融ビッグバンの主眼は規制を撤廃して経済活勁を活性化させることですが、具体的行動のポイントは平成10(1998)年4月に施行された外為法の改正です。今までの外為法では外国為替取引業務を外国為替公認銀行(いわゆる為銀)に集中させる義務がありました(為銀主義)。この改正法により為銀主義が廃止されて誰もが原則自由に外国為替取引や内外との資本取引を行うことができるようになりました。その結果、証券会社や商品取引会社等が業務として外国為替取引を一般に提供することができるようになったのです。たとえば、為替証拠金取引は米国の金融先物取引所(シカゴIMM)で活発に行われている為替取引の形態とほぼ同様なものです。投資信託業務がお手のものだった証券会社はもともと取り扱っていた外貨建て投資信託(外貨建てファンド)に自己が提供できるようになった為替取引業務を追加して顧客との取引を開始しました。また、投資信託の投資対象を短期の外貨証券に限定することで外貨MMFを主要商品に仕上げたのです。このように規制の撤廃で、銀行以外の金融機関が今まで提供不可能だった取引手法を一般に広く提供することが可能になりました。為銀に頼ることでしかできなかった今までのリスクの回避手段が多様化し、機動的になり、かつ、コストの一層の削減も可能になってきました。それと同時に、リスクを増幅させる危険もはらんでおり、自己責任の原則に沿った収引を厳格に遂行することが要求されるようになってきました。