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二ヵ月放置したB君

頑固で融通のきかないB君は、性格だけは彼が憧れる麻布中にぴったりでした。でも、不器用でどんくさく、おまけに国語があまりできません。小五の時点では「算数が好きなのはわかるけど、これでは届かないだろうなあ」という感じでした。個人面談の際に親から「言わないとやらなくて、それでいつもケンカになって……」という話が出ましたので、「放っておきましょう。親の言うことに無理やり従わせても、彼の行きたがっている麻布の好む子にはなりませんから、どうせ落ちるんです」と伝えました。そのあと、B君に大きな変化は起こりませんでしたが、頭を使って取り組んだ分だけ学力は向上していきました。不器用でどんくさい部分は変わりませんでしたが、それがいいほうに作用しました。決してあきらめないし、決して気を抜かないのです。国語も当初に比べれば、かなりましになりました。私との面談のあと、親は二ヵ月間ぐっと我慢したそうです。そのあたりから自分なりのペースをつくりはじめたようでした。入試の時点では、受かっても驚かないが、落ちてもおかしくないというレベルまでは達し、無事に麻布中学に合格しました。自分で選んだだけのことはあり、その後も自分なりのペースで六年間過ごし、現役で東大に合格しました。小学生のときに、ニカ月間、口出しを我慢するというのは、私にはそう難しいこととは思えないのですが、実行できる親は決して多くはありません。親が二ヵ月間、じっと口出しを我慢すれば、誰でも、麻布に受かり、東大に受かるという保証はまったくありませんが、B君の場合、親の二ヵ月間の忍耐がなければ、まったく別の進路になっていたように思います。